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明日葉に驚きのアンチエイジング効果

日本原産の野菜「明日葉(アシタバ)」(学名アンジェリカ・ケイスケイ)は、別名「八丈草」とも言われ、関東地方から紀伊半島にかけて育つセリ科の多年草です。

生育力、生命力が強く、
「今日その葉を摘んでも明日には新しい葉が出てくる」
ところから、その名が付きました。

房総半島、三浦半島、伊豆半島、伊豆諸島および紀伊半島東南の太平洋岸に自生します。

オーストリアの大学の研究で、明日葉に細胞を保護して寿命を延ばすアンチエイジング効果があることが認められました。

明日葉の寿命を延ばすアンチエイジング効果

アシタバに含まれる天然の物質フラボノイド(色素成分)の一種「4, 4'-ジメトキシカルコン(DMC)」が、細胞の老廃物の除去を助ける重要な作用を促して、アンチエイジング効果があることがわかりました。

オーストリア・グラーツ大学(University of Graz)分子生物科学研究所のフランク・マデオ(Frank Madeo)教授らの研究チームが突き止めました。

細胞が損傷した部分など、細胞の加齢に伴い蓄積する老廃物は、さまざまな病気や障害を引き起こす恐れがあります。

DMCには、細胞が自身の不要なタンパク質を分解し、細胞内をきれいにする「オートファジー(自食作用)」と呼ばれるプロセスを誘発する作用があると、研究チームはみています。

これにより、凝集タンパク質などの細胞老廃物が除去されて、アンチエイジング効果につながっていると考えられます。

DMCによる効果

マデオらの研究チームが、線虫とショウジョウバエにアシタバのDMCを長期で与えたところ、両方の中央値で寿命が約20%延びたといいます。

追加の実験では、心臓への血流が低下したマウスに投与すると、心筋細胞が保護されることも分かりました。

数種類のヒトの細胞を使った実験でも、細胞の老化を遅らせると思われる効果が認められました。

薬草としての明日葉(アシタバ)

秦の始皇帝がその昔に、
「東方の海中に不老長寿の薬草あり」
と使者を送ったとされる言い伝えがありますが、その「不老長寿の薬草=明日葉」だったと云われています。

江戸時代には、中国の明朝時代に編集された薬草に関する事典『本草綱目』にも明日葉が登場しています。

日本では江戸中期、貝原益軒によって完成された『大和本草』にも、八丈島で栽培されている滋養強壮によい薬草として紹介されました。

胸焼け、胃潰瘍、高血圧、花粉症、痛風、便秘に効く薬草として古くから重宝され、天然痘(痘瘡)の治療にも用いられていました。

野菜としてのアシタバ

日本のアシタバの市場流通量は1,500tと推定されますが、うち約9割は粉末や削り節状に加工して、青汁の原料やサプリメントとして用いられています。

野菜として流通するのは約170tであり、アシタバが名物料理となっている伊豆諸島など以外では、あまり馴染みのない野菜です。

アシタバは、主に若い葉と茎を食用にします。味は苦味と渋みがあって、香りも強め。

独特のクセがあるため、天ぷらやバター炒め、おひたし、マヨネーズ和えにしたりと、様々な調理法で食されています。

明日葉(アシタバ)の栄養

アシタバは栄養素に富む野菜で、特に、ビタミン類、ミネラル分が豊富であると共に、食物繊維を豊富に含んでおり栄養価の高い食品です。

植物にあまり含まれていないビタミンB1およびB2を含み、葉緑素が多いのも特徴です。

アシタバに含まれる成分として特に注目される成分は、葉や茎を切った時に出る薄黄色の汁に含まれる「カルコン」や「クマリン」というポリフェノール(フラボノイド)の一種です。

茎、葉、根の分泌組織(油道)より滲出する黄色の組織液(黄汁)中に含まれていて、抗菌、抗酸化作用、血管拡張作用があります。

明日葉(アシタバ)のポリフェノール

アシタバに含まれる黄汁成分の解析を行い、これまでに約10種類のカルコン類が構造決定されています。

その主成分はキ、サントアンゲロール(Xanthoangelol)および4-ヒドロキシデリシン(4-Hydroxyderricin)です。

これら成分の生理効果に関して、数々の研究論文が報告されています。

研究論文のうち主な成果は、

  • 抗菌活性
  • 血管拡張作用
  • 抗潰瘍および胃酸分泌抑制
  • 抗炎症
  • 血液凝固関連する効果
  • 抗ガン作用
  • 血圧上昇抑制および脂質代謝改善
  • 糖尿病治療効果
  • 腫瘍細胞の増殖を抑え、転移を抑制する効果がある

などがあり、アシタバカルコンには様々な生理機能があることが知られています。

明日葉(アシタバ)の栄養価

緑黄色野菜の王様といわれ、ビタミンとミネラルを豊富に含む、青汁の代表的な原材料である「ケール」。

生のアシタバの可食部100gあたりの栄養価を、ケールと比較しました。

アシタバとケールの栄養価
栄養価 アシタバ ケール
タンパク質 3.3g 2.1g
β-カロテン 5300μg 2900μg
ビタミンB1 0.1mg 0.06mg
ビタミンB2 0.24mg 0.15mg
ナイアシン(B3) 1.4mg 0.9mg
パントテン酸(B5) 0.92mg 0.31mg
ビタミンB6 0.16mg 0.16mg
葉酸(B9) 100μg 120μg
ビタミンC 41mg 81mg
ビタミンE 4.3mg 2.6mg
ビタミンK 500μg 210μg
ナトリウム 60mg 9mg
カリウム 540mg 420mg
カルシウム 65mg 220mg
マグネシウム 26mg 44mg
鉄分 1.0mg 0.8mg
亜鉛 0.6mg 0.3mg
0.16mg 0.05mg
マンガン 1.05mg 0.55mg
食物繊維 5.6g 3.7g

※文部科学省が発表している五訂増補日本食品標準成分表より

栄養価の大半は、ケールよりもアシタバの方がすぐれています。

ビタミンC・葉酸・カルシウム・マグネシウムは、ケールのが豊富です。

アシタバは青汁の成分としても注目される、栄養価の非常に高い健康野菜といえます。

7章 若返り