健康ライフGame

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温活は必要なのか?

平熱が低い低体温ですと、免疫力が低くなります。

そうすると病気にかかりやすく、治りも遅くなります。

そこで、
「体を冷やさないようにしましょう」
「平熱が上がるように温活をしましょう」
といった内容を見かけます。

この考え方ですと
「体温が高い方が健康」
となります。

では体温(平熱)が低いほど長生きなのでしょうか?

体温(平熱)が低いほど長生き

実は意外にも昆虫やマウスの実験などで
「環境温度が低くなるほど長生き」
「体温が低い方が長生き」
という結果がでています。

体温(平熱)を上げて免疫力アップすることは、寿命を縮めることになるかもしれないのです。

人間でも同様の調査結果があります。

平熱が高くなると死亡リスクが上昇

医学誌「BMJ」に「平熱の個人差:患者記録の縦断ビッグデータ分析」という論文が、2017年12月に掲載されました。

米国の3万5488人を対象に、平熱と死亡リスクの関連を調査したところ、
平熱が0.149℃上昇すると、1年間の死亡率が8.4%上昇します。」
と報告されています。

平熱の個人差:
患者記録の縦断ビッグデータ分析

アメリカ合衆国のある大規模病院の外来患者3万5488人を対象に、体温と健康・病気との関連を調査しました。

対象:

  • 米国の大規模な大学病院の外来を2009~14年に定期的に受診していた18歳以上の患者
  • 性別:64%が女性、36%が男性
  • 人種:59%が白人、16%が黒人またはアフリカ系アメリカ人患者、17%のヒスパニック患者
  • 訪問時の平均年齢:52.9歳
  • 感染症と診断された人、抗菌薬を処方された人を除外
  • 平均測定温度:36.6℃
  • 外来で測定された体温が平熱の範囲内と考えられる

結果:

いくつかの病気と体温との相関関係が見つかりました。

病気と体温との相関関係はわずか

肥満は高い体温と関係していました。

脂肪には、熱を通しにくい断熱材を身に着けている作用があり、脂肪が多い人の保温性が高くなり、体温が上がる可能性があります。

また安静時の代謝率と体温との間には強い関連性があることを考えると、安静時の体温が過剰なカロリー摂取によるエネルギーを消散させるのに役立つ可能性があります。

他にも、甲状腺機能低下症は低い平熱と、がんは高い平熱と関係がありました。

甲状腺ホルモンは代謝を上げる作用があるので、甲状腺機能低下症では平熱が低くなるのでしょう。

がん組織では細胞分裂が活発であり代謝が上がっていることや、がんに対する免疫反応などで説明できるかもしれません。

病気の他に性別や年齢なども平熱と関係していましたが、これらを全部合わせても平熱の高さの違いの8.2%しか説明できませんでした。

平熱が高いか低いかの違いと最も結びついていたものは死亡率でした。

死亡率と平熱の相関関係

平熱が0.149℃高いと1年間の死亡率が8.4%高くなっていました。

カロリー制限による体温の低下

ファスティングによるカロリー制限をすると、体温の低下につながることはよく知られています。

おそらくカロリーが少ないと無駄使いできないので、エネルギーを節約するために、代謝が落ち、体温も下がるのでしょう。

カロリー制限によって長生きできることが知られています。

エネルギーの消費量が減ることで、低い体温と長寿が関連していそうです。

結論を出すにはまだ研究が必要

平熱と死亡率の関係については、まだこれからの研究が必要ですが、平熱が高い、低いで一喜一憂しない方が良さそうです。

また特別なことをしていないのに平熱が上がった人は要注意といえそうです。

生活代謝と寿命(生物)

魚や昆虫では一定の範囲では、環境温度が低い方が寿命は長くなります。

カロリー制限をした動物の平均体温は、制限しない動物より低くなります。

カロリー制限には抗老化・寿命延長作用があるので、低体温と寿命の延びは関連がありそうです。

動物の寿命は、エネルギー消費速度と反比例の関係にあり、「老化は代謝率が高いほど早く進み、寿命が短くなる」という説があります。

1章 身体