腸内細菌が認知症の原因になる
脳の病気である認知症と、人の腸に生息する腸内細菌がなぜ関連するのか?
不思議に思われるかもしれません。
腸内フローラ(腸内細菌叢)が、アルツハイマー型の認知症の発症や進行に深く関わっていることがわかってきました。
認知機能の低下に、悪玉菌は拍車をかけ、善玉菌は進行を抑制するのです。
認知症の予防には、善玉菌を増やす食事や、便秘にならないようにするなど、腸内環境を整えることが重要です。
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脳の病気である認知症と、人の腸に生息する腸内細菌がなぜ関連するのか?
不思議に思われるかもしれません。
腸内フローラ(腸内細菌叢)が、アルツハイマー型の認知症の発症や進行に深く関わっていることがわかってきました。
認知機能の低下に、悪玉菌は拍車をかけ、善玉菌は進行を抑制するのです。
認知症の予防には、善玉菌を増やす食事や、便秘にならないようにするなど、腸内環境を整えることが重要です。
認知症のうち、6~7割を占める最も多いのが、アルツハイマー型認知症。
認知症を発症する15~20年前から「脳のゴミ」がたまり、「軽度認知障害(MCI)」へと進行します。
初期の主な症状はもの忘れ。昔の記憶は保持されるが、新しいことを覚えられなくなっていきます。
日付の混乱、理解・判断力、やる気の低下などが起こります。
軽度認知障害から約5年で過半数の人が認知症へ進みます。
認知症になった後も、10~15年かけて「ゴミ」が増えていき、ゆっくりと悪化していきます。
重度化すると、妄想、幻覚、人物の混乱などの症状が見られます。
脳の中にある細胞は、神経細胞(ニューロン)と神経膠細胞(グリア細胞)に大別されます。
主に情報処理にあたるのがニューロンで、そのニューロンを支えているのがグリア細胞といえます。
グリア細胞の中でも、ミクログリアと呼ばれる細胞は、他とは少し変わった性質を持っています。
ミクログリアは、脳内における免疫細胞であると考えられています。
神経組織がダメージを受けたときなどに活性化し、修復したり、排除をおこない、脳内環境整備の役割を果たすのです。
アルツハイマー病の原因とされるのが、「脳のゴミ」となる、過剰な脳内タンパク質です。
それぞれが作り出したアミロイド斑と神経原線維変化が、神経細胞死を引き起こし、記憶障害などの認知機能の低下をもたらします。
本来、脳の免疫細胞であるミクログリアが、これらのタンパク質を貪食することで、脳内を正常に保っています。
脳から遠く離れた腸内で悪玉菌(悪玉細菌)が増えて腸内細菌叢が変化すると、悪玉菌がサイトカインなどの毒物を放出します。
毒物が迷走神経などを通じて脳に届き、脳神経細胞を弱らせると共にミクログリアを活性化させます。
暴走したミクログリア(活性化型ミクログリア)が、炎症性サイトカインを産生して、炎症反応を引き起こします。
過剰なAβやタウだけでなく、正常な神経細胞まで攻撃します。
神経炎症が、認知機能の低下に拍車をかけ、アルツハイマー型認知症などの中枢神経疾患の発症や進行を促進します。
腸内で善玉菌(善玉細菌)が増えて腸内細菌叢が変化することで、活性化し暴走していたミクログリアを抑えることも可能です。
腸内環境を整えるのに適した生活をして、善玉菌が優位の腸内細菌叢にしましょう。
腸内フローラのバランスが乱れる、悪玉菌が増える生活習慣をしていないかチェックしていましょう。
3つ以上チェックがついた方は、要注意!
生活習慣を見直しましょう。
腸内細菌叢のバランスを良くするために、善玉菌を増やし、悪玉菌の増加を抑える食生活を実践しましょう。
善玉菌の好物は乳酸菌や食物繊維、オリゴ糖などです。食事の時には、善玉菌にもエサをやる意識で食品を選びましょう。
生きたまま腸内に到達可能な乳酸菌は、腸内の善玉菌を活性化させます。
乳酸菌・ビフィズス菌が多く含まれるのはヨーグルトや納豆、漬物、味噌、チーズ、キムチ、ザワークラウト、ピクルスなどの発酵食品です。
食物繊維やオリゴ糖は、善玉菌のエサとなって、善玉菌の増殖を促します。
食物繊維は野菜や大豆製品、穀物、イモ、海藻、きのこ類に豊富です。
オリゴ糖は玉ねぎ、ごぼう、バナナなどに含まれています。
野菜の中でもオクラ、山芋、メカブといったネバネバ食品は、善玉菌の好物であることが知られています。
ニンニク(生)、玉ねぎ、アスパラガス、キクイモなどはお腹や身体にいいと実証されています。
不溶性食物繊維は、スポンジのように水分をためこみ、便の量を増やします。
穀類、大豆、ごぼう、完熟野菜類などに含まれています。
水溶性食物繊維は、ドロドロと粘りのある状態にします。ゴミをからめとり、体外へ運びます。
リンゴ、ミカン等の果物、芋類、 キャベツや大根等の野菜類、こんぶやわかめなどの海藻類、大豆、キノコ、こんにゃくに含まれています。
プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方の機能を併せ持った食品。
納豆に含まれる納豆菌には、腸内の悪玉菌を減らす働きがあり、腐敗菌の増加を抑制してくれます。
また、納豆菌が腸内で善玉菌として働き、他の善玉菌の増殖を促す働きもあります。
たんぱく質を分解するのは悪玉菌なので、たんぱく質の多い食生活では悪玉菌が増えます。
また、甘いものを食べ過ぎると腸の働きが悪くなり、便秘になりやすくなるので善玉菌が減り、悪玉菌が増えます。
たんぱく質が少なすぎても腸の筋肉が弱まり、腸内フローラには悪いのですが、野菜など食物繊維もしっかりとり、好きだからと肉や甘いものを食べ過ぎないようにしましょう。
腸内フローラのバランスを壊したり、腸内を荒らす物質や食品をできるだけ食べないようにしましょう。
水分が不足すると、便を作れません。冷たい水分は腸の働きを抑えてしまうので、お湯、白湯など温かい飲み物で水分を摂りましょう。
食事の直後は避けて、寝起きや寝る前など小まめに、1日にコップ8杯ほどの量を飲みましょう。
腸にとって最も大切なのは朝。なぜなら、からっぽの胃に食物が入ることで、大腸に急なぜん動運動が起こり、排便を促すからです。
ところが夜更かしをして遅い時間に食事をすると、朝になっても空腹を感じることがなく、朝食を抜きがち。
せっかくの排便チャンスを逃してしまいます。
さらに遅い時間に夕食を食べると腸を無理に働かせることになり、腸の機能を低下させる原因に。
睡眠不足も便秘につながります。